初お披露目展から1年。

2016.11.19

今回は少し真面目に・・・。
年末の総括のような文章になります。

2016年も残り40日ばかりとなりました。
明日は那珂川町で南畑美術散歩が開催されます。
(私は今年は出展しません)

去年2015年の南畑美術散歩では、新田つぎさんの工房で約1m角のテーブルにうつわを並べさせていただきました。この年の夏に独立して那珂川に越してきて制作を開始し、この南畑美術散歩が初お披露目でした。
お客様からどんな反応があるのか、むしろ反応はいただけるのか、不安だったことを覚えています。

それから1年、本当に沢山の出展の機会を与えていただき、それに答えるためにも沢山のうつわを作りました。
一日一日が目まぐるしく過ぎていき、目の前のことにただ向き合っている間に1年が経ちました。
実は今年の4月まで、アルバイトをしながら制作をしていましたが、徐々に出展や注文の予定が入り、ありがたいことに早い段階で焼き物だけに集中することができました。
思い返せばアルバイトをしていたのはずっと昔のことのようで、そう感じるぐらい充実した日々でした。

焼きものだけで食べていくためには、作家はただ作っていれば良いわけではなく買って下さるギャラリーさんやお客様から収入を得なければ長く制作を続けられません。
それは本当に厳しいことで、会社勤めのような固定給はありませんし、自分が作った分だけ、売れた分だけが収入になります。
陶芸家が多い日本でも、焼き物だけで生活できている作家はほんの一握りです。
24歳の時、”自分の手から生み出せる仕事がしたい”と思い焼き物を始めましたが、やればやるほど、業界を知れば知るほど自分の甘さを認識し、現実の厳しさや難しさを目の当たりにしてきました。
残念ながら焼き物を辞めていく人が本当に多く、他の仕事や陶芸教室をしながら作っている人も多くいます。
(それが良いか悪いかは別問題として)
私はやきものが本当に好きですし、なんとか焼き物一本でやっていきたいとずっと思っていたので、今、一日中焼き物にどっぷり浸かっていられることが本当に幸せです。
それができているのは、自分の力ではなく、今まで私に色々なことを教えて下さったり、導いてくださった方々のおかげです。
有田の学校の先生方、多くの陶芸家の先輩方にも色々なことを教えていただきました。
弟子入りさせていただいた師匠のところでは濃密過ぎるぐらいの2年間を過ごすことができました。この2年が今の私のほとんどを作っています。
そのような素晴らしい環境にいられたこと、これは手に入れようと思って手に入れられるものではなく、かけがえのない時間で感謝してもしきれません。
今年の出展に関して言えば、今年は本当にたまたま倍率の高いクラフトフェアにも出展することができ、多くの初めましてのお客様が私のうつわを手に取ってくださいました。
駆け出しの無名の私に枠を与えてくださったお取引先の方々にも感謝しかありません。

焼き物はとても奥が深く果てしなく広がっていて、私はまだ深くまでは分かっていませんが、
自分をうつす鏡のようなものだと思っています。
積み重ねた時間だけ、向き合った分だけ、気持ちを入れた分だけのうつわになるような気がします。
手を抜いたり、ちょっと楽したり、こんなもんでいいだろうと軽く見てしまうとそれがそのまま焼き上がって見る人に伝わります。
楽しんで作ればそれがうつわからも伝わってくるような気がします。
まだまだ作るものも未熟ですが、焼き物に真摯に向き合い、自分の感覚が“よい”と感じるものを、使う方に喜んでいただけるように制作していきたいです。

今年は予定を入れすぎ、せっかくご注文いただいているギャラリーさんをかなりお待たせすることになってしまいました。
春まで大きな出展はありませんので一つずつ注文の制作を進めていきます。
焼き上がり次第納品していきますのでもうしばらくお待ちください。

2年目もどうぞよろしくお願いします。

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